3月決算の法人が、5月末の税務申告(法人税・消費税)に向けての進め方と注意点を以下に整理しました。
法人税・消費税の確定申告書を作成する際の参考にしてみてください。
<決算作業の振り返り>
まずは決算作業の振り返りです。法人税・消費税の確定申告書を作成するにあたり、まずはその元となる決算について確認しておきたいものです。次のような項目について適切に処理されているか再度チェックしておきましょう。
1.決算整理仕訳
(1) 減価償却費の計上
・法定耐用年数・償却方法(定額法・定率法など)に基づき、減価償却を実施できているか(固定資産台帳を確認しておきましょう)
(2) 棚卸資産の評価
・3月末時点の棚卸表に基づき棚卸資産が計上できているか
・評価損(陳腐化・破損)も考慮し、必要に応じて評価減されているか
(3) 引当金の計上
・貸倒引当金:売掛金・受取手形について必要額に漏れがないか
・賞与引当金:支給予定がある場合発生主義で計上されているか
・退職給付引当金:就業規則や契約に基づき引き当てられているか
(4) 未払金・未収金の計上
・期末時点で役務提供済・商品引渡済で未決済のものが計上できているか
(5) 前払費用・未払費用の整理
・保険料や家賃など、支払い時期と費用計上時期のズレが整理されているか
(6) 売掛金・買掛金の確認
・締め後に回収・支払済の取引について必要な調整がされているか
2.確認・検討事項
(1) 預金残高の確認
・金融機関からの残高証明書で一致が確認できているか
(2) 借入金残高の確認
・金融機関からの借入金残高証明書で一致が確認できているか
(3) 資産除却・売却
・使わなくなった資産があれば、除却等の処理ができているか
(4) 取引先の回収可能性確認
・長期滞留債権(売掛金、貸付金)について貸倒引当金設定を検討したか
(5) 役員貸付金・役員借入金のチェック
・税務上問題とならないよう内容・精算状況を確認したか
3.帳簿・証憑整理
(1) 領収書・請求書の整理・保存
・支出ごとに証憑(領収書・請求書・契約書)を整理して保存されているか
(2) 電子帳簿保存法への対応
・電子データ保存の場合、要件(検索性・改ざん防止)を満たしているか
(3) 通帳・クレジット明細の突合
・すべての入出金記録が帳簿と一致しているか
<税務申告書の作成>
決算作業の振り返りを行ったうえで、実際に法人税・消費税の確定申告書を作成する段階に入りましょう。
申告・納税まで、次のような点にも注意するとよいと思います。
1.法人税申告書の作成
(1) 別表作成
・別表1(確定申告書)、別表4(所得金額計算)、別表5(一)(利益積立金計算)など、必要な様式を作成します
・決算作業の振り返りで、申告調整をするべき項目に漏れがないか注意が必要です
・税制改正事項も要チェックです
(2) 添付書類準備
・勘定科目内訳明細書、事業概況説明書など、必要な添付書類を作成します
(3) 減税措置の確認
・受けられる税額控除(例:中小企業投資促進税制、所得拡大促進税制等)の適用有無をチェックし、漏れがないようにしましょう
2.消費税申告書の作成
(1) 課税区分の確認
・売上・仕入における課税・非課税・免税取引を正しく区分しましょう
(2) 簡易課税制度の適用有無確認
・簡易課税適用事業者の場合、業種ごとのみなし仕入率を確認しましょう
(3) 納税額計算
・中間納付の控除、還付申告の場合の添付資料チェックが必要です
3.申告・納付
(1) 申告
・5月31日(土日祝にかかる場合は翌営業日)が申告期限となります
・中間納付の控除、還付申告の場合の添付資料のチェックが必要です
・申告方法はe-Taxまたは紙提出(税務署へ持参または郵送)です
・資本金1億円超ならe-Taxは義務(紙申告不可)となっています
(2) 納付
・納付資金の確保の大切です
・5月31日(土日祝にかかる場合は翌営業日)が納付期限となります(法人税・消費税ともに申告期限=納付期限です)
・銀行窓口・ネットバンキング・ダイレクト納付等により期限までに納付することを忘れないようにしましょう